日曜日、久しぶりに高円寺に行った。
高円寺といえば、高校時代、
月一でライブをしていた、ライブハウスがある場所。
【PENGUIN HOUSE】
にぎやかな純情商店街をまっすぐ行った突き当たりを、
くるっと左に曲がってすぐ。
地下に下ったところにある小さいけど、
味のあるライブハウス。
階段や店内には、ペンギンの置物がいっぱいある。
染みついたタバコの匂いと、オレンジ色のライト。
年季の入ったお気に入りのアップライトピアノは、
4年くらい前の火事で、無くなってしまった。
出番前、隣りにあったドトールで、わくわくしながらスタンバイしてた。
今日は、あれとあれを話そう。新曲の評判はどうかなっ♪
夢見る女子高生に、怖いものは何もなかった。
そのドトールも、ずいぶん前になくなって、
今はお菓子屋さん、にぎわってる。
制服を着たまま、ドラムイスに座って、
ギターをかき鳴らして、歌ってた。
仲の良い友達が少しと、路上ライブで知ってくれたお客さん、
タイバン相手のお客さんが、私の歌を聴いてくれてた。
お酒をつくるカウンターの氷の音。
上の階から時々、流れる排水の音。
お客さんの真剣な眼差し。
授業中は、もっぱらPENGUIN HOUSEでのライブや、
路上ライブで配る用のチラシを書いてた。
一番前の席で、よく先生に怒られつつ、でも、大目に見てもらってた。
「石野田、そのくらいにしとけよ、オレの話も聞けよな」
あきれたような、でもやさしいようなうっすらした笑顔。
勉強は不真面目だったけど、夢にはまっすぐ真面目だった。
プロの歌手になんか、なれるわけないじゃん。
最初は誰もがそう思ってたと思う。
現実は、そんな甘くないって。
でも、私はなるっ！ってずっと思ってた。
自分のできることを、がむしゃらに歌ってた。
久しぶりにのぞいた、PENGUIN HOUSEは、
あの頃のままで、10年以上も前のこと、
思い出させてくれた。
街も私も多少変わったけど、
変わらないものも、ちゃんと胸にある。
時々食べに行ってたうなぎ屋さんのうな丼は、
なんか、しみじみ味。
格別においしかった。