復興支援募金の使い道

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2011年7月19日。
「君がいる町へ」弾き語りライブツアーの合間をぬって、
山形から、ボランティア仲間の方に迎えに来てもらい、再び亘理町へ行ってきました。
津波が押し寄せた地にも、花は咲いていました。
この時期、テントは暑くて眠れない&テントがいっぱいということで、
災害ボランティア仲間の方のご自宅に泊めてもらいました。
この日の天気は曇り。
いつもよりは涼しいと皆さんは言っていましたが、曇りの日は、意外と紫外線も強い。
午後から児童センターで子供達と歌うことが決まっていたので、
午前中だけ作業を手伝うことに。
海に近い住宅街。
家の1階部分は、天井付近まで浸水。
震災から4ヶ月たった今も、津波で付いた跡がくっきりと残っていました。
Sさん宅付近の道路の側溝にたまった泥をかき出す作業。
ふたを開けると、雨水も下水も流れる場所がない程の泥で埋まっていました。
角スコップで、掘り出した泥を、土のう袋に詰めて運び出す。
黒い泥は水を含んでいて、とても重いんです。
500㎜のペットボトル1本飲み干して、1時間も作業をすれば、
体中の水分が汗で全部流れ出てしまったんじゃないかと思うくらい、
マスクの内側も、洋服もびっしょり。
水が何本あっても足りないと感じました。
それでも、みんなもくもくと作業を続ける。
これが炎天下の中だったらと考えると、
夏の災害ボランティア活動はとても大変な作業だと思いました。
右から、お家に泊めていただいた椎名さん、一緒に迎えに来てくれた斎藤さんと、
地元ボランティアのミズマサさん、京都から夜行バスで来ていたコンドウさん、
テントがお隣だった佐藤さん、みんなで休憩中の一コマです。
なんとコンドウさんは、10年前の「いしのだなつよ」を知っていてくれて、
「FM802で、大プッシュされてましたよね?」って、言われた時はうれしかったー!
素で私の事知ってくれてたボランティアさん、初です☆
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作業を通して、これは水分が何本あっても足りないと思い、
今、ここでお金を使うべきと判断し、
「君がいる町へ」ライブツアーでみなさんが募金してくださったお金を、
使わせていただきました。
地元に少しでもお金を落とせるようにと思い、
6月に、シンガーソングライターの坂本サトル氏と声優の山寺宏一さんと一緒にライブし、
お世話になった「フレスコキクチ亘理店」にて、水分購入!
水分と共に、塩分や疲れを癒す甘い物も必要!ということで、
カップ麺と、お菓子なども購入しました。
これで、少しでも熱中症予防とか、作業効率が上がるといいな。
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午後からは、亘理町中央児童センターへ。
実は、連日の移動などによって少し疲れがたまっていた+久々に現地で肉体労働をしたので、
ちょびっとダウン。
先生方に親切にしてもらい、しばらく休ませてもらいました。
少し寝たら回復!
久しぶりに子供達と再会!
みんな、「あ!!何でいるの!?」って驚いてたり、
「さくらんぼおいしかったよーーー!」って言ってくれたり。
子供達と一緒に遊ぼうと持って行ったバルーンは大人気で、
みんなおおはしゃぎ!
元気な笑顔を見せてくれた!
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そんな子供達へプレゼントしたのが、
「プロジェクター」。
「君がいる町へ」ライブツアーで、みなさんからいただいたお金で、
先生方から要望があったプロジェクターと、スピーカーを購入しました。
「たくさんのお金が集まったので、少し高額な物でもお願いしずらいものでも構わないので、
 遠慮せずに、必要な物を言ってください!」と言ったんですが、
正直「プロジェクターが欲しい」と言われたときは、戸惑いました。
プロジェクターって、本当に必要なものなの!?
ちょっと贅沢なんじゃな代物なんじゃないんだろうかと。
当初、募金を使わせてもらおうと思っていたのは、
津波によって、保育所ごと流されてしまった荒浜保育所。
仮設の保育所が建ち、運営を再開するにあたり必要なものがいろいろありました。
しかし、当初要望があった除湿器や保育所に必要なものなどは、
他のところで寄付してくださる方がいたり、物資も充実している、
細々した物や、安い物なら、自分たちで手にいれることが可能とのことでした。
だけど、金額の大きいものは、なかなか寄付してもらうことが難しい。
そんな中、要望があったのが「プロジェクター」。
実は、亘理町が所有していた性能のいいプロジェクターが、
ちょうど荒浜保育所に貸し出されていた時、津波で全て流されてしまったそうです。
町のいろいろな施設へ貸し出され使われていたプロジェクター。
町にも予算がなく、なかなか購入することができなかった物。
荒浜保育所の先生方は、プロジェクターが流されてしまったことに気づき、
とても申し訳なく思っていたそうです。
プロジェクターを使っての上映会は、子供達を笑顔にする時間でもあります。
また、亘理町の各施設に貸し出して使ってもらえるため、
今現在、なかなか映画を見にいくことができない、映像を楽しむことができない、
仮設住宅に入っている人たちや、町の人たちにも楽しんでもらえるもの。
贅沢と言えば、贅沢なのかもしれません。
みなさんが想いを託してくれた募金の使い道、一番いい使い道は何なんだろうって、
たくさん考えました。
食べ物を贈ることで、生まれる笑顔。
でも、食べてしまえばなくなってしまう。
夏物が不足している中、サンダルはとても喜ばれるけれど、
全ての人には贈ることができない。
優先順位とか、考えれば考えるほど、何が正しくて、間違っているかは、
誰にもわからないのかもしれない。
でも、たぶん、プロジェクターを贈ることは、
私が歌を届けに行くことや、有名な方々が歌や芸を披露しに行くこと、
炊き出しに行くのと同じで、現地の人たちを笑顔にできることなんだと思います。
震災のことがだんだん取り上げられなくなっていく今、
生の歌声や笑いを届けに来る人たちも少なくなりました。
上映会を開くことで、仮設住宅に入って孤立してしまっている人たちにも、
楽しい時間や交流を持てる時間が作れるかもしれない。
プロジェクターは、これから必要になる物なんだと思い、贈ることを決めました。
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体育館で贈呈式を開いていただいた後、「トムとジェリー」の上映会。
「わあっ」という歓声とともに、子供達みんなスクリーンに釘付け。
先生方は、音がいい!と大絶賛。
私は、夢中になって見入って、大声で笑う子供達を、
ずっと見ていました。
幸せな時間だった。
私が想像している以上に、みんな笑うんだ。
こんな風に子供も大人も笑顔が広がっていったらいいな、
笑顔の時間が増えていったらいいなと、思いました。
上映会の後には、子供達全員で、本気のアンコール。
それが却下され、私が歌を歌う・・・ってなったときの、
みんなの落胆ぶりったら、なかった。
ある意味、傷ついたぞ。
でも、それくらい喜んでもらえたと思うとうれしかった。
みなさんの想い、笑顔に変わりましたよ!
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プロジェクターは、児童センターの先生と相談し、
長く使ってもらえるようにと、いいものを選びました。
少しでも募金してくれた想いを大事にしたいから、
市場に出ている物で一番安いお店で購入しました。
亘理町のみなさんに、笑顔が広がるといいな。
翌日、現地で出会い、自宅に泊めていただいた佐藤教頭先生に案内していただき、
亘理町から少し南下した場所にある、山元町の坂元駅へ。
(ちなみに佐藤先生の出逢いは、5月に亘理町中央児童センターで。
 話しをしてたら、、山寺宏一さんの大学時代の先輩ということが発覚。)
海が見える緑あふれる駅だと思っていたら、
実はこの付近には、たくさんの家が建っていたという。
この場所から海は見えなかった。
家の基礎となる、コンクリートの土台が、伸びた草の影からちらほら見える。
山元町は海沿いに主要道路があり、そこにはたくさんの家が建ち並んでいたそう。
そのため、津波で被害にあった方も多く、亘理町よりも3倍くらいの方が亡くなっている町。
先生の教え子たちの家もたくさんなくなったそう。
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海沿いにあるこの学校の生徒たちは、3階の屋上まであがって、助かったそう。
寒かっただろうな、怖かっただろうな、現場に立つと顔がこわばりました。
学校から見えるのは、家が建っていた跡、
コンクリートの基礎だけが残っていました。
窓ガラスがなくなった教室からは、強い海風が吹き抜けていました。
誰もいない学校。
本当だったら、子供達の勉強する姿や、笑い声が聞こえるはずの場所。
まだまだ、こんな現状があることを、忘れてはいけないと思いました。
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午後からは、吉田児童クラブへ。
吉田児童クラブは、津波によって使用できないため、
現在違う学校の部室を間借りしています。
卓球部の部室だったということで、卓球台を立てて仕切りにし、
先生達の事務室も作られていました。
空調のない一室で、子供達が遊ぶ。
それでも、学校が終わり元気いっぱいにやってくる子供達。
持参したバルーンで刀を作り、みんなでチャンバラごっこ。
さっきまでおとなしかった子も、
ものすごい勢いで、斬りかかってくる(笑)
意外とおもしろくって、いつまででも剣を振り回して遊びました。
ギターに興味をもった子たちとも、いっぱい歌った。
ギターを持って、さっそく自分で作曲している子も。
夢中になっている子供達はきらきらしてる。
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子供たちからのサイン攻めにあっているときの出来事。
先生「私のバッグにもサインしてください!」
Nちゃん「先生たちずるい!私たち何も持ってないのに!」
先生「え〜!あなたたちだって、ランドセルに書いてもらったっていいんだよ?」
私「そんなことしたら、お母さんに、怒られちゃうよーーー!」
少し間があった後、
さっきまで誰よりも元気いっぱい笑顔全開で遊んでいたNちゃんが、低い声でつぶやいた。
「お母さん、いない」
私は、その言葉に胸が張り裂けそうだった。
実は、彼女は津波でお母さんとおばあちゃんを亡くしていたんです。
先生から、そう聞いていたのに、
それすら忘れてしまうくらい、いっぱい笑って、一緒に遊んで・・・。
ここには、傷ついた子達がいるという意識が、薄れてしまっていた自分。
ここは、被災地なんだ、そんな風に意識して人と接するのもどうかなと思うけど、
彼女を傷つけてしまったことは事実で、後悔でいっぱいでした。
「ごめんね」しか言えなかった。
忘れていたかもしれない、悲しい現実を、思い出させてしまった。
表面では明るくしていても、ふとした瞬間に胸の奥にためていたものがあふれ出し、
涙を流す人もいる。
被災地に、少し慣れていたのかもしれないと、反省する出来事でした。
頭の中で、「お母さん、いない」という彼女の言葉がぐるぐるした。
帰り際、「また遊ぼうね」って、笑顔を見せてくれたとき、
なんとも言えない気持ちになりました。
今も、思い出すと胸が苦しいけど、そう言ってくれた彼女の笑顔に救われた。
傷ついている子供達が、
もっともっと、笑顔になってくれるように、
これからも何かしたいと思ったし、また必ず会いに来ようと思いました。
彼女と出会った吉田児童クラブに、後日、壁掛けの扇風機を2台贈りました。
学校の部室を間借りした即席の児童クラブは、壁に穴が開いていたり、
カーテンもなかったり、もちろんエアコンもありません。
網戸もないため、窓を開けっ放しにすることもできず、
私が行ったときも、結構涼しい日だったにもかかわらず、ムシムシしていました。
先日講師として行った、徳島の中学校の体育館も熱く、事業中体調を崩す生徒もいました。
子供は暑さに弱いし、我慢強いので、本当にだめだと思うまでなかなか口に出しません。
吉田児童クラブでは先日、冷風機をもらったそうですが、
全然効かないとのことで、壁掛けの扇風機をと要望がありました。
本当ならエアコンがほしいとのことだったんですが、
エアコンを買って贈ることは可能なんですが、
現在、エアコンを取り付けてくれる業者さんが手一杯で、早くても8月下旬とのことで、
応急の対策として、扇風機を贈ることに。
床に置くタイプだと、子供達が遊んでいる時に、ぶつかって壊れてしまったりするので、
壁掛けタイプをと要望がありました。
室内でも、元気に走り回って遊ぶ子供達に、少しでも快適に過ごしてほしいです。
お世話になった佐藤教頭先生と、
児童センター館長の礼子先生。
現地で出会った人たちが支えてくれているから、
私も助けられているし、支援も続けて行くことができます。
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みなさんからお預かりした被災地復興応援募金。
他には、ボランティアセンターからの要望で、業務用の掃除機とカーナビを購入しました。
ボランティアセンターの車両にはカーナビが付いている車が1台もなく、
これから各仮設住宅に声がけや物資を届けに行ったり、
片付けを依頼されたお宅へ向かう際、
現地の道や地理に詳しくない方も運転することがあるため、必要とのことでした。
新たに雇用された方や、年配の方が運転されることも多いということで、
画面が大きく見やすい物、他の車両にも付け替えが可能な取り外し機能が付いた物が
いいという要望がありました。
使う人のニーズに合っていなければ、その物があっても仕方ないですよね。
長く使って欲しいので、中途半端な安い物ではなく、
今後、新しく地図が更新できるものを購入しました。
業務用掃除機は、たくさんのボランティアさんたちが活動拠点としている、
ボランティアセンターの清掃などに使われます。
泥まみれ、砂まみれになって帰ってくるボランティアさん達の長靴底は、
洗っても、落としきれない泥が。
砂などにも対応できる強力な物を選びました。
掃除機は、センターで活動するボランティアさんたちの作業を軽減したり、
気持ちよく活動するための美化など、強い見方になってくれると思います。
亘理町災害ボランティアセンターのブログには、
その日、寄付された物の報告として「今日のありがとう」という欄があるんですが、
どちらもちゃんと、石野田奈津代さんとファンのみなさまと、書いてくれてありましたよ♪
7月16日、20日、23日の日記に載ってます☆
[亘理町災害ボランティアセンターブログ]
現地のことや、ボランティアさんたちの活動など、すごく丁寧に書かれているので、
ぜひ、のぞいてみてくださいね。
【現在までの募金の総額】
「君がいる町へ」ライブツアー 689449円
「東京タワーLIVE724」 165677円

合計 855126円
現在までの募金の使用内訳は、
【亘理町中央児童センター】
プロジェクター 179000円
スピーカー 49692円
AVケーブル 1644円

【吉田児童クラブ】
壁掛け扇風機2台 10960円
【亘理町災害ボランティアセンター】
業務用掃除機 42420円
ポータブルカーナビ 61400円
水・お菓子・カップ麺など 20454円

残りのお金は、489556円
今回、このような大きなお金が集まったということで、
個人では中々支援出来ない規模の支援が出来ればと考えていて、
吉田児童クラブに、業務用エアコン(冷暖房)を設置できないかと検討しています。
これからまた、現地の方とやりとりして、使い道を決めていきたいと思います。

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