ラベンダー湯物語

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「あきらめたくない」
その想いから、ステキな物語は始まる・・・
それは、先々週の日曜日のこと。
毎年、10月10日銭湯(1010)の日に、
都内の銭湯がやっている、ラベンダー湯。
私の近所の銭湯は、人がたくさん集まる日曜日に開催する、
ということで、ラベンダー湯に入れるのは、10月14日(日)。
銭湯ファンの私だけど、実はラベンダー湯は1度も入ったことがない!
絶対入りたい!
しかし!その日、宮城県亘理町で予定があった私は、
年に1度のラベンダー湯、入れない!!!
記念のタオルももらえない!と半分あきらめていました。
でも、年に1度のラベンダー湯。
なんとか、香り、雰囲気だけでも味わいたい!!!
14日、ほんの少し早く、東京に帰って来たので、
一番遅くまでやっている、いつもは行かない銭湯へ駆け込んだ。
日曜日は、23:00閉店と書かれた扉。
閉店15分前、22:45!
のれんをくぐり、恐る恐る訪ねる。
私「こんばんは〜、あの、まだやってますか?」
そこにいたのは、坊主姿の感じのいいおじちゃん。(以下ご主人の「主」)
主「うちはね、夜中の1時までに出てくれりゃ、何時に入っても何時間いてもいいの。」
あれ?23:00までって書いてあったけど・・・
私「そうなんですかー!あの、今日って、ラベンダー湯、やってますか?」
主「やってるよ!あのね銭湯の日っていうのがあってさ、
  ホントは10月10日にやるんだけどさ、
  なんか日曜日にやってくれって言うからさ、今日やってんだけどさ、
  俺、間違えて10日もやってさ、2回もやっちゃったよ〜!」
私「えー!10日もやってたんですかー!あーここ見に来たのに気づかなかった!」
主「今頃ね、ラベンダーのいい出汁が出てますよ〜!」
  
私「えー!すっごい入りたいんですけど、ちょっと今日、
  女の子の日で入れないんです・・・」
主「ああ、そう。残念だね、ごめんね」
私「でも、あの、ラベンダー湯の雰囲気だけでも味わいたいな〜と思って、
  のぞきに来たんですけど、あの、見学とかさせてもらえませんかね?」
主「おもしろいこと言うね、あなた。いいよ、いいよ、見てって!」
私「えっ!ホントですか!?じゃ、お金払います!」
主「お風呂入らないんだろ?いらねえよ、そんなの。
  ラベンダー湯も年に1度だからね〜!
  11月はりんご湯もあるし、冬至にはゆず湯もあるんだよ。」
あれ、なんか私、銭湯初心者だと思われてる・・・?
銭湯ファンをアピールしなきゃ!
私「はい!知ってますよ!私、銭湯に置いてあるフリーペーパーの1010にも、
  載ったことあるんですよ!」
主「・・・え〜?どの欄に?」
めちゃくちゃ疑われてる。
私「す、好きです、銭湯のコーナーです!!!」
主「え〜、いつ頃?何年前?どんな表紙の回?」
めちゃくちゃ追求されてる!!!
私「えっと〜、わりと最近だった気がします、からし色の表紙の・・・」
主「だって、あのコーナーは・・・あなた、なんかやってるわけ?」
私「あ、歌を歌っていまして・・・」
主「だからか!へー、本当?じゃあすごい人がうちに来たってわけか」
私「あいえ、すごくはないんですけど・・・銭湯が好きで、
  ライブとかさせていただいてて、DVDも出してます」
主「へ〜!どこの銭湯?うちは広くないからライブはできないけど、
  よかったら見てって!」
私「あ!ありがとうございます!」
というわけで、終始気さくなお父さんとやりとりして、
人生初のラベンダー湯を見学させていただくことに。
ラベンダー湯のラベンダーは、北海道富良野産の天然ラベンダー。
脱衣所と浴室の扉を開けた瞬間、ものすごいラベンダーの香り!
目を閉じればそこは、富良野のラベンダー畑(行ったことないけど・・・)
浴槽には、でっかい洗濯ネットに入った、ラベンダーが!
ラベンダー湯って、ラベンダー色なのかと思ったら、茶色なの!びっくり!
洋服を着て洗い場に行くのは初めてで、お客さんもなんだ?と驚いた様子。
なんだか服を着ている私の方がはずかしかった。
お客さんは、おばあちゃんと、さばさばした感じのお姉さん。
お風呂に入れない私の事情を知って、
「じゃ、記念にこれ持って行きなよ!」と、お姉さんが、
湯船に浮いていたラベンダーの洗濯ネットのチャックを空け、
中からラベンダーを取り出して、私の手のひらに分けてくれた。
私「え!お姉さん、お店の方ですか?こここれ、いいんですか?」
姉「大丈夫、大丈夫、私ね、いつもこの時間に入りに来てるんだけど、
  もうお客来ないし、記念にね、内緒ね・・・」
そう言って、ビニール袋まで取りに行ってくれたお姉さん。
おばあちゃんも笑顔で、なんかお湯には浸かってないのに、ぽかぽか。
こういう、何気ないやりとりに、ものすごく幸せを感じる・・・。
でも私は、タダで見学させてもらってる上に、
ラベンダー泥棒までしたような気がして、ちょっぴりどきどき。
またご主人のところへ戻り、
私「ラベンダー湯、すごいいい香りでしたーーー!ありがとうございました!」
主「そうだろう〜!よかったね、じゃあこれ、はい」
なんと、銭湯の日の記念タオルをくれた!!!
私「えーーー!いいんですか!?そんなお金払います!」
主「いいの、いいの、俺、銭湯ファンにはやさしいんだ」
だって。
ああ、なんてステキなお父さんなの。
タオルのお礼に、今度は私の記事が載った銭湯フリーペーパーと、CD持って、
また必ず来ます!
で、話しの本題はここから。
家に戻ると、一緒に住んでる妹がちょうど仕事から帰ってきたので、
ラベンダー湯をおすすめ。
「また今度」は早い方がいいので、
銭湯フリーペーパーとCDとDVDを持って、一緒にレッツ銭湯!
「こんばんは!お客、連れてきました♪」
そしたら、お父さん、とっても喜んでくれた。
しかも、私が帰った後、すぐに私の名前を検索して、
曲まで聴いてくれていた!
聞けば御年70歳!ばりばりスマホを使いこなしていたのです!
す、スーパー銭湯お父さん!
主「なんだ、あなた、結構すごいじゃない!名前検索したら、一番上に出て来たよ!」
私「あ、それは、石野田奈津代って私くらいしかいないので・・・」
妹がお風呂に入っている間、カウンターでコーラをごちそうになる。
銭湯なのに、モーニングをやっているということで、
カウンターがあるんです。
瓶のコカコーラをグラスに注ぎ、氷とレモンまで入れてくれた。
私「私のこと、銭湯初心者だと思ってましたよね?」
主「思ってた!」
私「やっぱり・・・」
主「しかも、見学させてくださいなんて、おもしろい子が来たなって(笑)」
番台での一日の過ごし方や、お父さんの銭湯のこだわり話しを聞きながら、
まったりとしたステキな時間を過ごす。
ラベンダー湯に入れない私を気にしてくれていたみたいで、
突然、お父さんが何かを差し出した。
「これ、あげる」
それは、今さっき、お風呂を見学させてもらったときに、
湯船に浮いていたものと同じ、大量のラベンダーが入った洗濯ネット。
私「え!?なんですか、これ」
主「俺さ、ラベンダーいつも、多く買うんだよ。
  だから、ラベンダー湯、2回もできたんだけどさ。
  これ、あげるよ。」
私「いえ、いえ、そんな!いろいろごちそうになってばっかりなのに!」
主「いいの、いいの。
  だってさ、これがあれば、1年待たなくても、ラベンダー湯できるだろ?」
笑顔でこっちを見てるお父さんと、ラベンダーの香り。
お父さんの粋なはからいに、感動して、動けなくなっていた。
真冬の寒ーーーい外から帰ってきて、お風呂に入った時みたいに、
じーーーんってした。
なんて、ステキな生き方をしてる人なんだろう!
他のお客さんにも、ひとことひとこと声をかける姿は、
全部愛を感じた。
きっと、お父さんに会いたくて、この銭湯に通っている人、多いと思う。
妹がお風呂から出て来て、そろそろ閉店。
主「なんだか俺も、飲みたくなっちゃったな〜。
  今日、クラッシックのいいビールあるんだよ、一緒に飲まない?」
そう言って、銭湯のシャッターを閉めて、飲み会スタート!
銭湯を継いだときの話し、結婚した時の話し、離婚した時の話し・・・。
おしゃべり好きのお父さん、いっぱい聴かせてもらった。
そこで、最後のお願い。
私「あの〜、もし可能だったら、お風呂、入れてもらえませんかね?」
主「そうそう、俺も今入ったら?って言おうと思ってたの。
  寒いんじゃないかなって思って。どうぞ。」
私「えーーーー!!!いいんですかーーー!うれしい!じゃこれ、450円!」
主「いや〜!俺、今日、儲かっちゃったな〜」
そして、貸し切り銭湯、ラベンダー湯を満喫。
もちろん、気持ちよすぎて、歌いました。
こういう時、いつも歌う歌は、「温度」。
ひとつずつ しみこむ あなたのそのやさしい 体温
とめどなく にじみだす 全ては未来につながっていく
まさに、この歌詞みたいな夜だった。気づけば深夜3時。
こんなステキな名物お父さんがいる銭湯があったなんて。
やっぱり、銭湯が好き。
昨日は、お父さんが分けてくれたラベンダーで、お家で、ラベンダー湯。
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お風呂中、ラベンダーのいい香りで、
めちゃくちゃ癒された〜。
ココロも体もほっくほく。
やさしくしてくれた、お父さんを思い出しながら入りました。
まだ、たくさんラベンダーあるから、その都度、お父さんを思い出しながら、
癒されよう。
そんでまた、陽気なお父さんがいる銭湯に行こう。
都会の真ん中のあったかいオアシス、
それが、私にとっての銭湯です。

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