「言葉」について考える体験事業☆山口県上関分校

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<9月24日(水)>
ここは山口県、湯田温泉。
朝からホテルの屋上露天風呂で、湯田温泉の町並みを眺め、
道ばたの足湯に入り、さらに街を流れる綺麗な川で足を冷やし、
前日、エフエム山口の新井道子さんに紹介してもらった山水園という所の
温泉につかり、お湯(水)三昧で、体を癒やしました。
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そしてやってきたのは、山口県の上関町。
長島という島!!!
何をしにやってきたかというと、この島の高校の講師になるためです!
講師をさせて頂く、山口県立熊毛南高等学校 上関分校は、
再来年で廃校となってしまうため、
生徒さんは2年生、3年生合わせても19人。
文化庁から「言葉」について考える体験事業として、
この19人の生徒さんと一緒に、一つの歌を作ってほしいと
お話を頂きました。
一足早く高校へ向かい下見をした後、先生方に懇親会を開いて頂きました!
山口県といえば、ふぐ料理。
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ちなみに、こちらの方では、ふぐのことを「ふく」と言うそうです。
こりこりのふくをお腹いっぱい食べさせて頂きました!
ふく料理はもちろんのこと、山口県のもう一つの名産、
「みかん」のストレート果汁ジュースは、たまらなくおいしかった!
先生方は私のことをとても歓迎してくださり、期待してくださっていて、
明日からの事業がとても楽しみになりました。
<9月25日(木)>
「言葉」について考える体験事業初日のワークショップ。
生徒のみんなと対面。
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ドキドキとわくわくで、みんなの前に立ち、
あいさつをすると、反応がほとんどない・・・。
私が話しをしてるのに、話しをしている。
とにかくまずは自分の故郷・神津島の話しや、自己紹介をしました。
生徒さんにも自己紹介をしてもらおうと、呼びかけましたが、
みんな照れたりしてなかなかしようとしないので、
近くに行って、一人一人に自己紹介をしてもらいました。
そうこうしている間に、あっという間に1時限目が終わろうとしていて、
あわてて神津島の方言を使った歌、「おいんげぇときちゃーれ」を歌って終了。
午後からは、歌のテーマ決めをしようと意見を求めましたが、
誰も意見を言おうとしません。
しかたなく、自分が好きだった場所、好きなことを探してもらうため、
学校を飛び出して、外に出かけることにしました。
生徒さん達が、事前に書いてくれたアンケートで、
自分が好きな場所に選んだ所を、みんなで巡り、
その場所で何を感じるのか、なぜそこが好きなのかを、
メモしてもらうことにしました。
上関大橋、展望台、図書室、教室、保健室。
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上関大橋は、長島と山口を結ぶ大きな高い橋で、
下は海。遠くには近隣の島が浮かび、風気持ちいい場所でした。
展望台は、学校のすぐ裏の山にあって、登るのは少ししんどいけど、
見晴らしもよく、隠れ基地のような素敵な場所。
図書室は冷房が効いていて、入り浸りたくなるような場所。
教室からは海やグラウンドが見え、春には桜がとてもきれいらしい。
保健室には、みんなの話しを聞いてくれるきよこ先生がいて、
女子のたまり場になっているっていうのもわかる感じの落ち着く場所。
でも、この日は夏がぶり返したような暑さで、みんなバテバテ。
暑い、しんどい、私はいかない、ここで待ってる、行きたくない。
私が提案した、好きな場所巡りは、不満の声でいっぱい。
メモに、何も書いていない子もいました。
最後にみんなで今日回って来た場所のいいところ、
自分がこの2年間、3年間、通ってきた学校で好きだった場所、
どうして、その場所が好きなのか、
高校生活の中で一番よかったと思うこと、
なぜ、それが印象に残っているのか、
一番言いたいことは何か?
とことん考えてもらい、気持ちを書いてもらいました。
恋バナをはじめてしまう子、考えようとせずそのままにしている子もいました。
それでも、なんとか気持ちを引き出し、みんなからのメモ書きを集めました。
この学校にきてよかったことを軸に歌を作ってもいい?という問いに、
誰も答えてくれないまま。
無理矢理そうゆうことにして、
歌詞をまとめ、歌を作ってくることを約束し、この日のワークショップを終えました。
疲労感と共に、申し訳ない気持ちでいっぱいで泣きたかった。
<9月25日(金)>
ほとんど寝ていない状態で、学校へ向かいました。
音楽室。まずみんなの前で歌詞と歌を披露しました。
そして、話そうか迷ったけど、昨日私が思ったことを素直に話しました。
・対面の時、全然反応してくれなくて、いっぱい、いっぱいになったこと。
・生徒の心を、全然つかめていない自分に焦っていたこと。
・正直、自分自身の中で、どんなテーマで歌を作っていいのかわからないまま、
 生徒達を連れ出していたので、本当に歌が作れるか不安だったこと、
 生徒を迷わせてしまったこと。
・本当は、みんなやりたくもないことを
 やらされているだけなんじゃないんだろうか、
 そんな風に思えて悲しかったこと。
・先生方がたくさん準備して期待してくれたいたのに、
 うまくできなくて、申し訳なく思ったこと。
・私は、生徒さんに何か残せないかと思って、生徒さんのために何かしたいと
 思ってここへ来たのに、何もできなかったと思ったこと。
・嫌われるのが怖くて、やりたくなかったら、やらなくていいよテイストを出したり、
 機嫌を伺ったりしていたこと。
・心のどこかで、何を言っても無駄な生徒達なのかもしれないって、
 勝手に諦めていたこと。がんばっていなかったこと。
・何かを教えたり、誰かをとりまとめたりすることなんか、
 自分には向いていないし、こんな風になってしまうくらいなら、
 講師なんて引き受けなければよかった、失敗したと思ったこと。
・でも私は、みんなのために、何かしたいと思ってここに来た。
 ここで投げ出すわけにはいかないし、ダメだった分、
 挽回できるとすれば、みんなが書いてくれた歌詞を、
 みんなの気持ちの通りまとめ、心に残る歌を作ること。
 そして、ライブでしっかりとした歌を聴かせることなんだ。
・気持ちを切り替えて、歌詞のまとめをしようとしたとき、
 みんなのが書いてくれた言葉を見て、思ったこと。
 一人一人、それぞれがいろんな想いをメモに残してくれていて、
 素直な想いが、そこには書きつづられていて、
 それだけで、私にも少しだけ心を開いてくれたのかもしれないって、
 思えてうれしかったこと。
・私は、もっとみんなのことを信じてみようと思い、
 夜通し、みんなの気持ちにふれながら一生懸命歌を作ってきたこと。
たった1日しかみんなと一緒にいなかったのに、
話している内に、涙が溢れてきてちゃんと話せなくなった。
そんな私の正直な気持ちを、生徒たちは驚いたように、
でも受け止めるようにじっと聞いてくれていました。
そして、一緒に歌の練習をすると、
昨日までは絶対歌ってくれなそうな雰囲気だったのに、
みんなちゃんと声をだして、歌ってくれました。
やっと気持ちが通じたような気がしてうれしくて、うれしくて。
みんなが教えてくれた気持ちを、ひとつひとつくみ取って作った歌。
その曲タイトル決める時は、みんなからいくつも候補があがりました。
きっと、照れて候補も何も出ないだろうと思って、私が用意していたタイトル。
そんなものより、ずっと素敵なタイトルがあがり、
みんなが、自分たちで決めた曲タイトルが生まれました。
「Say You Say 〜仲間とともに〜」
本当に、みんなで作った歌。
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体育館で、そのできたてほやほやの歌を、
来場してくれた中学生や保護者の方々や先生方の前で披露したときは、
なんだか、3年間担任を務めたぐらいの、喜びで、
歌いながらまた泣きそうになりました。
みんなは私の生徒だ!って叫びたくなるような、愛しさでした。
男子も女子もしっかり歌ってくれて、本当にうれしかった。
中学生にも事前アンケートを取らせてもらったので、
そのアンケートから言葉を拾い、短い歌を作って歌いました。
中学生は、環境問題のことを考えている子が多くて、びっくりしました。
その後、私が伝えたいこと、「夢は逃げたりしない、逃げるのは自分なんだ」
「がんばれば誰かが見てる」という思いを歌と、言葉で伝え、
「言葉」を考える体験事業は終了。
「春空—ハルソラー」の時には、前日、先生方が一生懸命作ってくれた
桜吹雪が舞い、とても素敵な演出をしてくれました。
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本当に、ここにいることができてよかった。
生徒さんや先生方と出逢えてよかった。
歌を通してふれあうことができてよかった。
みんな大好きだ!!!
昨日とは正反対の想いでした。
つい最近まで、山口県に島があることさえ知らなかったのに、
その島に来て、生徒さんや先生方と出逢い、一緒に1.5日を過ごし、
たくさん心を揺さぶられ、人生で忘れられない出来事が起きて・・・。
なんて不思議なんだろうと思うと同時に、歌を歌っていて本当によかったと、
思いました。
生徒さんにとって、どれくらい私は役に立てたかはわかりませんが、
何か心に残ってくれていてたらうれしいと思い、上関を後にしました。
ある生徒が言ってくれた一言。
「私たちのために泣いてくれてうれしかったよ。」
とても心に残る体験をさせてもらいました。
みんな、ありがとう。
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